輪島漆器

輪島 キリモト
桐本 泰一

輪島漆器

先祖は江戸時代後期より輪島にて塗師屋業を営んでいた。昭和の初め久幸が朴木屋を創業し、二代目俊兵衛氏により漆器木地家具も創り始める。輪島の伝統的な分業制では朴木地を担当する一方で、塗師も自社に抱え仕上げの行程までも行う。三代目泰一氏は、筑波大学芸術専門学群生産デザインコース卒業後、コクヨ(株)意匠設計部を経て、輪島朴木地工芸 桐本木工所に入る。朴木地(ほうきじ)職見習いを経て、木地屋からの創作漆器デザイン提案や木地屋が想う漆の創作をはじめる。卓上の小物・器、和洋家具全般、建築造作関係にいたるまで、他に例を見ない幅広い木工製品を創り出す。日常使いの漆器をとデザイン、製作し、広く伝える。2007年3月燕子花別館にて、初めての試み「拭き漆のワークショップ」と個展「漆の間」開催。

漆器は、木などを加工した素地に漆の木の樹液を塗り重ねて作られる。木や漆をはじめ、自然からの恵みを使い、多くの職人が製作に携わる。使い込んで傷ついても、丁寧な塗りが施されていれば塗り直しが可能。漆器は手に馴染み、唇には柔らかく、見る目にも美しく、人の感性を豊かにしてくれる。

輪島は、朴(ほう)、档(あて)、欅(けやき)など豊富な木材と北陸地方の気候、湿度を利用した本堅地を誇る漆器産地として有名。それぞれの過程でそれぞれの専門職が仕事をする分業制が品質向上につながり、古くから漆器の産地として成長を遂げてきた。